最後の曲、最後のFが鳴った。そしてその音が消えた。
正確には全てのプログラムが終わった瞬間、
涙がボトン。

ポロンではなくボトン。

大好きな人を前に胸がキュンとなる時のような切なさに 胸しめつけられたり、まるで天国の楽園を歩いているような錯覚に陥ったり…
素晴らしい!なんて私の陳腐な言葉では到底伝えることのできない、そんなコンサートでした。
演奏活動を引退するピリスに惜しみない拍手。
あんなに暖かい拍手の音が鳴り響くサントリーホールは初めてです。

同じ時代に生き、同じ空間を共有できたことに感謝。
以前、ピリスと同じピアノ椅子に座り、私の身体に触れて弾いてくださった「嘆きの歌」は、私にとって時空を超えた贈り物。

心のひだをたくさん表現できるピアニストになりたい。夢を追い見続けたいと思う。

自分の人生を振り返ったり、深く考えたりさせられる。
私を見て微笑みかけてくださる、その眼差しに涙する。
ピリスとは…私にとって、そんな存在。
私の音楽の全てです。

♬プログラム

mie